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人工股関節って何? 術後の生活は?

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世の中には全人工股関節置換術(以下THA)を受けて生活している方が多くいます。

あえて言わずに生活している方もいますが、術前後での生活は大きく変わることが多いです。

今回はどのようなことが変化するのかを経験した中からお話したいと思います。

目次

1.THAのメリット・デメリット

メリットは術後早期から荷重をかけることが出来ることです。

大腿骨頚部は血行が少なく、骨折などすると治癒するまでに時間がかかったり経過が不良だったりすることがあります。

そこでTHAを受けると、ベッド上での時間を極力短くすることが可能であり、筋力や体力をそこまで落とさずにリハビリへつなげていくことが出来ます。

その他にも変形性股関節症の末期の方が疼痛除去のため受けるなど、様々な方がTHAを受けることがあります。

デメリットは注意しないと股関節の脱臼を起こすことです。

過去に比べて脱臼しにくくなってきていると言われますが、可能性は0ではありません。

手術方法によって脱臼肢位は変わります。

一般的に多い後方アプローチでは、股関節の屈曲、内旋、内転の複合運動が禁忌となっています。

前方アプローチだと伸展、外旋、内転と禁忌が変わりますので、このあたりは主治医やリハビリ担当と確認しておく必要があります。

また他のデメリットとしては永久的なものではないため、運動量によって大きく変動しますが10~20年の寿命であり、再置換が必要になるということもあげられます。

 

2.THA後のリハビリ

前述したようにベッド上で過ごす時間を極力減らすためにTHAを行うのであって、早期からの離床が必要です。

基本的な流れとしては

離床拡大 → 起居動作・歩行練習 → 日常生活動作練習

と徐々に自身で出来ることを増やしていく流れになり、同時進行でROM拡大や筋力向上を促すというのは共通していると思います。

骨折でTHAを受ける方であれば比較的回復は早いことが多いですが、変形性股関節症などで疼痛を我慢しながら生活していた方は足も短くなり、筋肉が短縮していたり、どうしても元々の活動量が低下してしまうため、筋力向上やROM拡大まで時間がかかってしまうことがあります。

足の長さが変わるということは新たに運動再学習が必要になるため、筋力だけつけるのではなくどのように動かせばいいのかDYJOCといった練習などで運動コントロールの練習も出来るとなお効果的であることが多かったです。

疼痛も伴うため、Drと相談して疼痛コントロールしながらのリハビリが出来るかどうかで経過も変わります。

 

3.THA後の生活について

退院後はしばらくの間杖が必要になります。

歩行や日常生活動作がある程度出来るようになっていても、創部の治癒はまだ完全ではなく、中殿筋などの筋出力不全の回復には入院期間のリハビリだけでは足りないため、自主練などが必要になります。

ここで無理に杖を外すと、転倒リスクが高いのはもちろんですが患側への荷重支持が不十分であり、長期的に見ると歩容の不安定につながります。

そのため杖を外すかどうかは主治医や担当セラピストへの相談をしてからが望ましいです。

その他の日常生活動作について影響があるものの一部をまとめます。

しゃがみ動作 和式トイレ含め絶対禁忌
あぐら あぐら自体は可能ですが、可動域の確保が必要
床の物を拾う動作 患側を後ろに引くことで立位でも手を伸ばせば可能
入浴 足を伸ばせる広さであれば可能、清拭はシャワーチェアー必須
靴下を履く動作 ソックスエイドを使用することで可能
爪切り あぐら出来れば自身でも出来ることがある、または他者にやってもらう
寝具 ベッドが望ましい、布団でも可能だが畳んだりするのは難しい
寝返り 創部が落ち着けば両側へ可能。足が内側に入らないよう枕を挟むことも
座っている時 靴ひも結ぼうと手を伸ばす、後ろを振り向く動作が禁忌

他にも様々な生活スタイルによって危険な動作もあるため、一度どんな動作があるか一日の流れを考えてみることが必要です。

また自宅の中だけではなく、復職希望の方は業務内容が実際に可能かも考える必要があります。

例えば仕事が工場で重い物を運ぶといったものであれば事務仕事中心に出来ないか仕事の内容も職場と相談する必要が出てきます。

保育士であればしゃがみ動作をせずに仕事を出来るのか、和式トイレしかない職場とか、事務職以外は動作の制限が大きく影響するでしょう。

しかし工夫をすればクリアすることもあるため、まずは主治医や担当セラピストとの相談が必須です。

我々PTも様々な情報を提供された方が提案も明確にしやすいため、入院中に交流しておくことをおすすめします。

退院すると相談も予約して診察を受ける必要があります!

 

 

簡単に今まで経験した内容をお伝えしました。

デメリットもあげていますが、実際に自立した生活を送ることが出来ている方が多いのも事実です!!

なので手術が必要になっても、まずは一つ一つ出来ることを増やしていくよう前向きに考えていくことで生活の幅は広がっていきます。

そのお手伝いをするために我々PTがいますので、気軽にご相談していただければと思います。